母乳の保存と搾乳授乳をめぐっては、育児現場での葛藤やパートナーシップの実情が生々しい声としてSNSや育児コミュニティに寄せられています。
都内在住で生後3ヶ月の子を育てる30代の母親は、自著ブログやSNSの手記で次のように振り返っています。「退院直後は母乳過多で胸が張り裂けそうになり、夜中に痛みに耐えながら搾乳していました。夫が『自分が夜中に解凍して飲ませるから、まとめて寝てほしい』と言ってくれたことで、暗闇の育児ノイローゼから救われました。フリーザーパックに細かく日付とミリ数を書く作業は、当時の私たち夫婦にとって唯一の命綱でした」。
一方で、管理の厳密さに疲弊するケースも少なくありません。「せっかく搾った母乳を夫が間違えて電子レンジでチンしてしまい、大喧嘩になった」「冷蔵庫の奥に眠っていた日付不明のパックを見つけて泣く泣く捨てた」という失敗談は枚挙にいとまがありません。
臨床の現場に立つ助産師へのヒアリング調査によると、「完璧な母乳育児を目指すあまり、1ミリの母乳を捨てることすら自分を責めてしまう母親が非常に多い」という現実が浮き彫りになっています。母乳保存は本来、育児の負担を分散し、母親の心身の休息を確保するための合理的な手段であるはずが、いつの間にか「1ミリも無駄にできない呪縛」へとすり替わってしまう構造的なリスクが存在します。