田辺市を流れる会津川の上流、吉野熊野国立公園のエリア内に位置する奇絶峡。ここは荒々しい巨岩や奇岩が削り取られた渓谷美で知られる景勝地だ。この地に伝わる文化的な深みは、平安時代初期に真言密教を開いた弘法大師 空海の伝承と深く結びついている。
渓谷に架かる滝見橋からの眺めは、まさに圧巻の迫力だ。怒涛の如く岩を穿つ清流と、新緑や紅葉が織りなす彩り。高所恐怖症の人であっても、比較的しっかりとした構造と適度な高低差のおかげで、足すくみを感じることなく雄大な景色に没頭できる。巨岩の壁に刻まれた磨崖仏を遠望しながら橋を渡ると、かつて修行僧たちがこの地で感じ取った霊気すら漂ってくるかのようだ。