日本テニス協会の歩みを振り返る上で、歴代トップが果たしてきた役割と交代劇の経緯は見逃せません。かつてソニー副社長を務め、私財を投じて「盛田正明テニス・ファンド」を創設した盛田正明名誉会長の時代は、錦織圭選手をはじめとする世界的トップランナーをアメリカ・IMGアカデミーへ送り出すなど、強烈なリーダーシップが日本テニスの黄金期を切り拓きました。
しかし、時代が平成から令和へと移り変わる中で、中央集権的なトップダウン型の運営体制は次第に制度疲労を起こしていきます。山西健一郎前会長(三菱電機元会長)の体制下では、企業のガバナンス知見を取り入れた近代化が期待されたものの、事務局内部の伝達ミスに起因するエントリー漏れ不祥事の経緯が決定打となり、責任を取る形での辞任を余儀なくされました。
現在、日本テニス協会の会長および新執行部は、民間企業出身の経営プロフェッショナルと競技現場を知り尽くした元トップアスリートのハイブリッド構成へとシフトしています。公式発表の詳細まとめによると、コンプライアンス遵守の徹底はもちろんのこと、外部理事の比率を40%以上に引き上げるなど、密室人事を排したオープンな意思決定プロセスが定着しつつあります。