海の向こうでも、誰も予想し得なかった歴史的事件が起きていた。アメリカ大統領選挙において、政治経験ゼロの不動産王ドナルド・トランプが既存のメディアや世論調査の事前予測を覆して劇的な勝利を収めた。イギリスのEU離脱(ブレグジット)国民投票と並び、この勝利はポピュリズムの台頭とSNSによる世論分断の恐ろしさを世界に見せつけた。
「アメリカ・ファースト」を掲げる新政権の誕生は、第二次世界大戦後の国際政治を支えてきた多国間主義や自由貿易体制を揺さぶり、自国中心主義への転換を加速させた。SNSのアルゴリズムが人々の政治的意見を鋭鋭化させ、エコーチェンバー現象を生み出す仕組みが白日のもとに晒されたのもこの時だ。国際社会の亀裂は、まさにこの場所から深まり始めた。