倍賞千恵子が吹き込んだ楽曲は歌謡曲、映画主題歌、抒情歌、童謡など多岐にわたります。音楽配信の再生実績やCDセールス、長年のファンアンケートで支持を集める代表的な名曲を独自に集計し、上位5曲の魅力を紐解きます。
1位:『世界の約束』(2004年)|映画『ハウルの動く城』主題歌
宮崎駿監督の映画『ハウルの動く城』でヒロイン・ソフィの声を演じると同時に歌い上げた主題歌です。作詞は谷川俊太郎、作曲は木村弓、編曲は久石譲という日本を代表するクリエイター陣が集結。倍賞千恵子の慈愛に満ちた歌声が物語の余韻を完璧に包み込み、ジブリファンのみならずZ世代をはじめとする若い層にもその名を知らしめた金字塔的作品です。
2位:『下町の太陽』(1962年)|第4回日本レコード大賞新人賞受賞
歌手・倍賞千恵子の原点であり、松竹映画の同名作で主演も務めた出世作。高度経済成長期の東京の下町で、前を向いて懸命に生きる労働者の希望を描いた楽曲です。伸びやかで清涼感あふれる歌声は当時の日本中に希望を与え、第4回日本レコード大賞新人賞を受賞しました。
3位:『さよならはダンスの後に』(1965年)|洗練された昭和ポップスの傑作
都会的で哀愁漂うメロディが印象的な名曲。後年、多くのアーティストにカバーされたほか、CMソングや映画『おもひでぽろぽろ』の挿入歌としても起用されました。情感を過剰に押し付けず、さらりとした哀感を漂わせる抑制の効いた表現は、彼女の歌唱センスの真骨頂といえます。
4位:『さくらのバラード』(1972年)|映画『男はつらいよ』の世界観を紡ぐ名唱
『男はつらいよ』シリーズのさくら役として国民的人気を博す中、柴又の情景や兄・寅次郎への想いを想起させる楽曲群も多数残しています。哀愁の中に芯の強さを感じさせる歌声は、映画のスクリーンを越えて聴き手の郷愁を呼び覚まします。
5位:『忘れな草をあなたに』(1971年盤)|抒情歌の美しさを極めた名演
ヴォーチェ・アンジェリカや梓みちよなど複数の歌手が歌い継いだ名曲ですが、倍賞千恵子のカバーは日本語の母音の響きと端正なフレージングが際立ち、決定盤の一つとして高く評価されています。日本人の心の原風景を描く抒情歌の歌い手としての地位を不動のものにしました。