函館自由市場の最大の魅力であり、リピーターが熱狂する楽しみ方が「市場内フリーイート(持ち込み食事)スタイル」です。一般的な飲食店で定型メニューを注文するのではなく、場内を歩き回りながら自分だけのオリジナル海鮮定食を完成させるシステムが確立されています。
具体的な手順は明快です。まず、場内に並ぶ約40軒の鮮魚店(富田鮮魚店や坂井鮮魚店など)の店頭を覗き、小分けパックで売られているマグロの中トロ、活ホタテ、塩水ウニ、ボタンエビなどを数百円単位で購入します。店主にお願いすれば、その場で殻を剥いて食べやすい刺身に仕立ててくれます。
次に、市場中央に設置された無料休憩ラウンジ「憩い処」へ向かいます。ここには給茶機や電子レンジが完備されており、場内の店舗で「白飯(ライス大・中・小)」と「岩のり汁やカニ汁」を購入すれば、総額2,000円〜3,000円台で高級割烹顔負けの豪華オリジナル海鮮丼が完成します。炭火焼きコーナーや焼き魚をその場で提供してくれる店舗もあり、香ばしい焼き立ての銀ダラやホッケを合わせるのも通の選択肢です。
現場を観察すると、威勢の良い店主たちが「今日のウニは利尻が良いよ」「イカの耳はサービスしておくね」と気前よく声をかけてくれる光景が日常茶飯事です。過度な商業主義に染まっていない温かなコミュニケーションこそ、来訪者が深い満足感を抱く本質的な要因となっています。