結論から言えば、クビアカツヤカミキリの捕殺に対する懸賞金(自治体での正式名称は「捕殺報奨金制度」)は実際に存在し、条件を満たせば受け取ることが可能です。
一体なぜ、一介の昆虫にこれほど異例の賞金が設定されているのでしょうか。最大の理由は、この虫がもたらす壊滅的な樹木被害と倒木リスクにあります。
中国や朝鮮半島、台湾などを原産地とするクビアカツヤカミキリは、サクラ、ウメ、モモ、スモモといったバラ科の樹木に極めて強い嗜好性を持ちます。2012年に国内で初めて侵入が確認されて以来、瞬く間に東日本・近畿圏へと感染エリアを拡大しました。
特に深刻なのが、成虫ではなく樹木の内部に潜む幼虫の食害です。幼虫は木の内部を1〜3年かけてトンネル状に激しく食い荒らし、樹木を内側からスポンジのようにスカスカにしてしまいます。その結果、全国の景勝地にある桜並木が突然枯死したり、台風や強風時に前触れなく倒木して道路や歩行者を巻き込む重大事故の要因となっています。さらに、桃やスモモを育てる果樹農家にとっては、園地全滅の引き金になりかねない死活問題です。
繁殖力が極めて高く、メス1匹が体内に最大1,000個以上(平均数百個)の卵を持つため、成虫を1匹駆除することは次世代の爆発的な増加を未然に防ぐ決定打となります。行政職員や専門業者だけのパトロールには物理的限界があるため、市民の目を「早期発見・駆除のセンサー」として動員する施策として報奨金制度が導入されました。