モルヒネは、アヘン(ケシの実から採取される成分)に含まれる主要なアルカロイドを精製・加工した「オピオイド鎮痛薬」の代表格です。中枢神経系に存在するオピオイド受容体(主にμ受容体)に結合し、脳へ送られる痛みの信号を強力にブロックする働きを持っています。
一般社会で違法取引される「麻薬(ヘロインや覚醒剤など)」と、病院で処方される「医療用麻薬」の間には、使用目的と管理体制において決定的な違いがあります。医療用麻薬は、麻薬及び向精神薬取締法に基づき、厚生労働省の厳格な許認可と適正使用ガイドラインのもとで管理されています。医師免許を持つ専門医が処方箋を発行し、厳密な用量計算のもとで患者に投与される医薬品です。
主な適応疾患は、手術後の激しい急性疼痛やがん性疼痛、心不全や呼吸器疾患に伴う難治性の呼吸困難(息切れ)などです。痛みの原因そのものを治癒させる薬ではありませんが、患者が感じる耐え難い身体的苦痛を速やかに取り除き、人間らしい日常生活や睡眠を取り戻すために欠かせない医療ツールとなっています。