市販のデミグラスソース缶を使えば簡単に味は整いますが、誰が作っても「どこかで食べたハヤシライスのような画一的な味」になりがちです。フランス・ブルゴーニュ地方の伝統料理であるブフ・ブルギニョン本場の味を目指すなら、ぜひデミグラス缶なし本格レシピに挑戦してください。
ベースとなるのは、角切りにした香味野菜(玉ねぎ、人参、セロリ)をじっくり飴色になるまで炒めた「ミルポワ」と、トマトペースト、そして良質なフォンドボー(市販の小袋ペーストで十分代用可能)です。牛肉の表面に小麦粉を薄くまぶして強火で香ばしく焼き付け(メイラード反応)、その鍋底についた旨味(シュック)を煮詰めた赤ワインでこそぎ落とす「デグラッセ」を行うことで、缶詰では決して出せない力強い骨太なコクが生まれます。
さらに、安価な肉でもレストランの深い味わいに化けさせる、プロが教える絶品隠し味を4つ紹介します。
- ビターチョコレート(カカオ70%以上)または純ココア(ひとかけ/約5g):煮込みの最終盤に加えることで、ソースに深遠なコクと美しい艶、ほのかな苦味のアクセントを与えます。
- 濃口醤油(小さじ1〜2):グルタミン酸が豊富な醤油を微量落とすことで、西洋料理のフォンとアミノ酸の相乗効果が生まれ、日本人の舌になじむ圧倒的な旨味へと昇格します。
- はちみつ(大さじ1):加熱初期に肉へ揉み込むかワインに加えることで、果糖とブドウ糖が肉の水分を抱え込み、保水性を劇的に向上させます。ソースの角を取り、まろやかに仕上げる効果もあります。
- 冷たい無塩バター(15〜20g):火を止める直前に鍋へ投入し、優しく揺すって溶かす「モンテ・オ・ブール」を行います。ソースにまばゆい光沢が生まれ、シルクのように滑らかな口当たりへと激変します。