首都・東京の水源構造は、極めて緻密かつ巨大なネットワークで結ばれています。東京都水道局公式発表によると、東京都が使用する水道水のうち約8割を利根川水系および荒川水系が担い、残りの約2割を多摩川水系が賄っています。つまり、「東京の水不足」を語る上で命運を握っているのは、群馬県や栃木県の山間部に位置する利根川上流のダム群です。
国土交通省関東地方整備局が公表する首都圏水資源状況(リアルタイム観測データ)および各ダム管理事務所の最新計測値を追うと、2026年現在の全体像がはっきりと見えてきます。利根川上流ダム群(矢木沢ダム、奈良俣ダム、藤原ダム、相俣ダム、薗原ダム、下久保ダム、草木ダム、渡良瀬貯水池、八ッ場ダム)の総貯水量はおよそ4億立方メートル前後で推移しており、貯水率にして約80%台半ばをキープしています。一見すると平年比100%を超えており、直ちに枯渇するような危機的状況ではありません。
しかし、現場の専門家が警戒を強めているのは「数字の推移スピード」です。例年、8月から9月にかけての猛暑期は都市部の水道使用量が跳ね上がる一方、上流部の雨量が極端に偏る傾向があります。とりわけ、利根川水系最大の貯水容量を誇り「首都圏の主水源」と呼ばれる矢木沢ダム現在の貯水率は、8月上旬から中旬にかけての晴天続きによって急激な下降カーブを描く局面が見られました。一方、多摩川水系に属し東京都自らが管理する「奥多摩湖」こと小河内ダム貯水率は、70%台後半から80%台と極めて安定した数値を記録しており、西多摩・城西エリアの水源防衛ラインは堅牢に保たれています。