現在、TikTokやInstagramのファッションコミュニティを席巻しているのが、頭頂部に毛糸の球がついた「正ちゃん帽(Sho-chan Beanie)」の再解釈だ。90年代の裏原カルチャーやY2Kの文脈を通過したZ世代にとって、この素朴で愛嬌のあるシルエットは、ミニマル一辺倒だった近年のストリートスタイルに対する最高のカウンターとして機能している。
ハイブランドがランウェイでクラシックなニットウェアを再提示したことも追い風となった。古着屋のワゴンを掘り起こして当時のデッドストックを探し求めるユースカルチャーの熱量は、かつてないほど高い。都内のヴィンテージショップ店主は「2026年代前半の無機質なテックウェアへの反動として、ぬくもりや人間味のある『歪(いびつ)な可愛らしさ』が選ばれている」と分析する。