敬語を過剰に使おうとするあまり、文法的に誤った表現を使ってしまうケースが後を絶ちません。現場の採用担当者や取引先が実際に違和感を抱きやすい典型例を検証します。
代表的なNG表現とその理由
- 「御社様」「貴社様」(絶対NG):「御社」や「貴社」そのものが相手企業への敬称であるため、「様」を重ねると二重敬語(過剰敬語)になります。丁寧に見せようとして無知を露呈してしまう典型例です。相手を指す場合は単に「御社」「貴社」とするか、「〇〇株式会社様」のように社名+様とします。
- 「〇〇株式会社 御中 貴社へのお問い合わせ」(誤用):「御中(おんちゅう)」は郵便物やメールの宛名において「組織・部署全体」を指す敬称です。「貴社」は文章の中で会社を指す代名詞であり、宛名に「貴社」を使ったり、文中で「御中」を代名詞として使ったりするのは誤りです。
- 「貴社様各位」(誤用):「各位」は「皆様」という意味の敬称であるため、「様」を重ねるのは不適切です。「取引先各位」や「パートナー企業各位」が適切な表現です。
【現場の声】面接やメールで間違えた場合の影響
大手人材サービス会社や企業の採用担当者を対象とした各種アンケート調査によると、「面接中に1〜2回『貴社』と言ってしまった程度で不採用に直結することはない」というのが一般的な見解です。会話の文脈や本人の熱意、受け答えの論理性が本質的な評価軸だからです。
ただし、履歴書やESの文章中で「御社」と「貴社」が混在していたり、ビジネスメールで当たり前のように「御社様」と書かれていたりすると、「文章作成能力や基本的なビジネスリテラシーが不足している」という印象を与える要因になります。面接で万一口頭で「貴社」と言い間違えた場合は、慌てて取り乱すことなく「失礼いたしました、御社では〜」と自然に修正して会話を続けるのが最もスマートです。