多くのファンが期待する「ゾウの復活」ですが、現実的な受け入れ計画を立てる上では、主に2つの巨大な壁が立ちはだかっています。
第1の壁は、ワシントン条約(CITES)による厳格な国際規制です。アジアゾウ・アフリカゾウともに絶滅危惧種として「附属書I」に分類されており、商業目的の国際取引は全面的に禁止されています。現在、海外から新たな個体を導入するには、学術研究や国際的な種の保存プログラムに基づいた公的な貸借(ブリーディングローン)などに限られており、生息国の政治判断や外交関係も絡む極めて難度の高い手続きが求められます。
第2の壁は、動物福祉基準の高度化と「群れ飼育」の義務づけです。近年の世界動物園水族館協会(WAZA)および日本動物園水族館協会(JAZA)のガイドラインでは、社会性の高いゾウを単独やペアで飼育することは推奨されず、血縁関係のあるメスを中心とした複数頭の群れで暮らせる広大な環境整備が前提となっています。
都市の中心部に位置する天王寺動物園の敷地面積(約11ヘクタール)の中で、国際基準を満たすゾウの群れ飼育施設を建設するには、数十億円に及ぶ巨額の設備投資と他動物エリアの縮小・移転が不可欠です。地方独立行政法人化を経た園の経営戦略として、単一の展示のために過大なリソースを投入することは極めて現実的ではないと判断されています。