楽曲の真実に再び大きな光が当てられたのが、hide没後20年の節目である2018年に全国公開されたドキュメンタリー映画『HURRY GO ROUND』(監督:阪本真人)でした。本作で特筆すべきは、リアルタイムでhideの熱狂を経験していない、当時20代の俳優・矢本悠馬をナビゲーターに起用したアプローチです。
リアル世代の先入観を持たない矢本悠馬が、神奈川県横須賀市にあるhideの生家、制作スタジオ、そして彼が最期のときを過ごす直前まで滞在していた米ロサンゼルスの街を歩く構成によって、作品は伝説神話に包まれたhideを「一人の表現者・人間松本秀人」へと引き戻していきます。ロサンゼルスの雑居ビルや馴染みのレストランを辿る中で、彼がどれほど無邪気に、そしてどれほど孤独と向き合いながら新しいサウンドを追求していたのかが生々しく映し出されました。
映画のクライマックスにおいて、旧友であり盟友のYOSHIKIがカメラの前で語った告白は、鑑賞者に強烈な感情を投げかけました。X JAPAN解散の激動を経てもなお消えなかった二人の絆、そしてhideの急逝を聞かされた当時の絶望。「hideは自ら未来を閉ざすような男ではない。前に進むことしか考えていなかった」という主旨の言及は、歌詞にまとわりついていた悲観的な解釈を根底から打ち消す決定打となりました。
加えて劇中では、保管庫から偶然発掘された「カセットテープに録音されたhideの生声アコースティックバージョン音源」の存在が明かされ、ファンを歓喜させました。加工される前の、息遣いまで聞き取れるギター弾き語りテイクの公開は、曲に込められたピュアな心象風景を雄弁に物語っています。