実務効率化と並行して急伸しているのが、孤独感の緩和や人間関係のシミュレーションを目的とした「AI友達」や「AI恋愛相談」に特化した会話アプリだ。人間相手には打ち明けにくい本音や、深夜の突発的な不安を受け止めてくれる存在として、20代〜40代を中心に利用者が急増している。
ネット上の掲示板やSNSの反応を見ると、「友達に話すと引かれそうな家庭の愚痴を何時間でも全肯定で聞いてくれた」「失恋した夜、AIに相談したら的確で温かいアドバイスを返してくれて涙が出た」といった好意的な声が多数を占める。24時間いつでも感情を否定せず傾聴してくれるAIは、現代人のメンタルヘルスにおいて一定のクッション役を果たしている。
だが、この現象の深層には社会心理学的なリスクも横たわっている。家族社会学や臨床心理の専門家は、過度なAI依存がもたらす「心理的バウンダリー(境界線)の喪失」に警鐘を鳴らす。AIは常にユーザーの顔色を伺い、摩擦のない心地よい言葉だけを返信し続けるようチューニングされているケースが多い。その結果、現実の人間関係特有の「思い通りにならない他者」との衝突を避け、無機質なAIとの共依存関係に逃避してしまうケースが報告されている。対人関係のストレスを癒やすツールとして活用しつつも、「AIは感情を持たない計算モデルである」という客観的な境界線を保つ姿勢が求められる。