アンカフェの歴史において最大の分岐点となったのが、2018年6月の活動休止発表と、それに続く2019年1月の楽器隊4名(Gt.takuya、Ba.カノン、Key.ゆうき、Dr.輝喜)の同時脱退でした。なぜこれほど極端な形に至ったのか、当時の公式コメントや音楽専門誌のインタビューからは、メジャーシーンでの激動と年齢的な岐路が浮き彫りになります。
メジャーレーベル移籍後のタイアップや過密なスケジュール、セールスへのプレッシャーに直面するなかで、メンバー間には「音楽制作に対するスタンスの相違」と「30代半ばを迎えた職業人としての将来設計のズレ」が徐々に生じていました。みくが「アンティック-珈琲店-の世界観をどこまでも純粋に守り抜きたい」と願ったのに対し、楽器隊のメンバーは個人としてのプレイヤー技術の向上や、スタジオワーク、他アーティストへの楽曲提供など、個々のクリエイターとしての自立を模索し始めていたのです。
特筆すべきは、メンバーが激しく対立した末の破綻ではなく、膝を突き合わせた長期の協議の末に導き出された結論であった点です。「解散」という言葉を使えば、青春のすべてを捧げた「アンカフェ」という概念そのものが消滅してしまう。みくが一人でバンドの看板を背負い続けることを決断し、他の4人が脱退という形で身を引いたのは、お互いの人生を尊重しつつ、いつか再び集うための「未来への余白を残すための苦渋の選択」でした。