富山駅の改札を出ると、ガラス張りの開放的な高架下を低床路面電車(LRT)が滑るように横切っていきます。2020年の南北接続以降、歩行者の動線は劇的に改善され、2026年現在、富山駅周辺再開発計画は商業施設・ホテル・タワーマンションの複合開発が相次いで完了を迎えました。富山地方鉄道LRT未来構想が描いた「鉄路を軸とした都市の背骨」は完全に定着し、休日の中心市街地における歩行者通行量は南北接続前と比較して約1.4倍に増加しています。
富山市コンパクトシティ構想は、公共交通の沿線に居住や都市機能を集約させる政策として全国の自治体からモデルケースとされてきました。富山スマートシティ推進協議会のデータによれば、市内中心部への居住推進支援事業を通じて、転入超過エリアは駅前半径1キロ圏内に集中しています。駅北エリアに新設されたオープンイノベーション拠点には、首都圏や関西圏からサテライトオフィスを構えるIT企業が参入し、若いエンジニアが闊歩する光景も珍しくありません。
しかし、駅前の賑わいだけで都市の未来を楽観視することはできません。地価公示価格において駅前商業地が堅調な伸びを見せる半面、駅から車で30分以上離れた山間部や郊外住宅地では、商業施設の撤退と資産価値の下落が冷徹に進んでいます。「富山の未来」は今、都心の高層化と周辺部の衰退という極端な二極化に直面しているのが実情です。