一部のインターネット掲示板や非公認の動画配信などで、「シニアカーの速度リミッター解除」「モーター換装によるスピードアップ改造」といった情報が散見されます。しかし、シニアカーの速度制限を改造して引き上げる行為は、極めて危険であり明確な違法行為です。
時速6kmを超える速度が出るように改造された車両は、その瞬間に道路交通法上の「身体障害者用の車(歩行者)」としての要件を喪失します。警察の取り締まり対象となり、以下の極めて重い法的責任を問われることになります。
- 無免許運転の適用:原動機付自転車または普通自動二輪車等の無免許運転(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)に該当する可能性。
- 道路運送車両法違反:保安基準(前照灯の光量、制動装置、方向指示器、後写鏡など)を満たさない不正改造車の運行。
- 自賠責保険未加入運行:自動車損害賠償保障法違反。
- 歩道通行禁止違反:歩道を走行した場合、通行区分違反。
さらに恐ろしいのは物理的な事故リスクです。時速6kmで走行中の停止距離(ブレーキをかけてから完全に止まるまでの距離)は乾燥路面でおよそ1m前後ですが、これが時速10kmになると制動距離は倍以上に伸びます。シニアカーの車体重量はバッテリーを含めて約100kg前後あり、これに乗員(50〜70kg)が加わると総重量は150kgを超えます。この重量物が時速10km以上で他の歩行者や児童に衝突した場合、相手に骨折や頭部外傷などの重傷を負わせる凶器と化すのです。万が一事故を起こした場合、歩行者扱いとしての個人賠償責任保険が一切適用されず、数千万円単位の損害賠償責任を個人で負うことになります。