猫の毛は年間を通じて少しずつ生え変わっているが、劇的な変化が訪れるのは年に2回、3月〜5月頃の春と9月〜11月頃の秋だ。これが、いわゆる猫の換毛期である。日本ペットフード協会の調査等でも示される通り、現代では室内飼育の猫が増加している。そのため、エアコンによる室温管理や人工照明の影響で季節感が薄れ、一年中ダラダラと毛が抜け続けるケースも増えている。
生理学的に見れば、春の換毛期は厳しい冬を乗り切るための保温性に優れたアンダーコート(密生した柔らかい下毛)を脱ぎ捨て、通気性の良い夏毛へとシフトする期間だ。反対に秋は、寒さに備えて密度が高く暖かい毛をびっしりと生やす準備段階にあたる。日照時間や気温の推移が脳の視床下部に刺激を与え、ホルモン分泌を通じて毛周期をコントロールしているのだ。このダイナミックな生体反応を見落とすと、部屋の掃除の苦労が増すだけでなく、猫自身の体調変化にも気づきにくくなってしまう。