浄土真宗の二大潮流である「浄土真宗本願寺派(お西)」と「真宗大谷派(お東)」。同じ親鸞の教えを汲みながらも、江戸初期の東西分立以降、仏壇の荘厳(装飾)様式には明確な違いが形成されてきました。仏具選びや配置において、両派のルールを混同することは最大の失敗要因となります。
まず、仏壇の最上段中央にお祀りするご本尊(阿弥陀如来立像)からして仕様が異なります。お西の阿弥陀如来像は後光(光背)の放射線が8本(四十八願に八正道を加えた教え)で台座の装飾が比較的落ち着いているのに対し、お東の阿弥陀如来像は後光の放射線が6本で、光背の最上部に「雲模様」が入るのが通例です。さらに両脇侍の掛軸もお西は向かって右が「親鸞聖人」・左が「蓮如上人」であるのに対し、お東では右が「十字名号(帰命尽十方無碍光如来)」・左が「九字名号(南無不可思議光如来)」を掛けるのが正式な形式とされています。
仏具の材質や色味にも顕著なコントラストがあります。本願寺派(お西)は黒の漆塗りに金箔を施した落ち着きのある仏具や、「宣徳色(せんどくいろ)」と呼ばれる深みのある茶褐色の金属仏具を多用します。一方、真宗大谷派(お東)は「磨き(金色)」と呼ばれるまばゆい真鍮製の金ピカの仏具を正式とし、火立(燭台)には「鶴亀」の透かし彫りが施された独特の意匠を用います。
日常の配置基準となる「三具足(さんぐそく)」は、中央に香炉、向かって右に火立(ローソク立て)、左に花立を配置します。法要や命日など特別な日には、火立と花立を1対ずつ用意し、香炉を中心に左右対称に並べる「五具足(ごぐそく)」で荘厳します。三具足・五具足のルール自体は共通ですが、使用する仏具の造形美とお供え物の形状に各派の美意識が色濃く反映されています。