毎年7月20日が「月面着陸の日(Moon Day)」と定められている直接の契機は、米航空宇宙局(NASA)のアポロ11号月着陸船「イーグル」が、月の「静かの海」に着陸した日時に由来します。着陸が記録されたのは米東部夏時間(EDT)で1969年7月20日午後4時17分42秒(日本時間では翌7月21日午前5時17分)。人類が有史以来初めて地球以外の天体に降り立った瞬間でした。
この偉業に至るアポロ計画の経緯には、熾烈な米ソ宇宙開発競争がありました。1957年のソ連によるスプートニク1号打ち上げ、1961年のユーリ・ガガーリンによる世界初の有人宇宙飛行と、宇宙分野で完全に出遅れていたアメリカは国家の威信を揺るがされていました。時の米大統領ジョン・F・ケネディが1961年5月の議会演説でぶち上げた「1960年代が終わる前に人間を月に着陸させ、無事に地球へ帰還させる」という宣言は、当時の技術水準からすれば無謀極まりない政治的賭けでした。
NASAの当時の内部記録を紐解くと、1967年1月のアポロ1号火災事故による宇宙飛行士3名の殉職など、計画は幾度となく破綻の危機に瀕していました。それでも総額約254億ドル(現在の貨幣価値で約30兆円相当)という莫大な国家予算と、最盛期には40万人を超える科学者・技術者・民間企業が結集。サターンVロケットの開発と8号での月周回飛行を経て、11号の快挙へと結実したのです。