2009年に放映が始まった『化物語』を皮切りに、アニメ業界へ多大な影響を与え続けてきた『物語シリーズ』。その中でも貝木泥舟という存在は、伝奇アニメやダークファンタジーの文脈において革新的な足跡を残した。従来の伝奇物における「怪異を退治する陰陽師や能力者」というステレオタイプを打ち破り、「言葉とハッタリだけで怪異を解決する一般人の詐欺師」という新たな概念を提示したのだ。
ライトノベル業界においても、単なる「善悪」や「味方と敵」の二元論に収まらない貝木の造形は、後の作家たちに多大な影響を与えた。社会の裏側で泥をすすりながらも、独自の倫理観を貫き通す彼の生き様は、成熟した大人たちの観賞にも耐えうる文学的な深みを作品に付与している。