京阪沿線の住宅街と昔ながらの長屋が入り混じる一画に、夕暮れ時になるとぼんやりと赤や白の提灯が灯ります。2026年現在、滝井新地の風景は、かつて十数軒が軒を連ねていた時代と比べると確実に静けさを増しています。現地を歩くと、看板建築のモルタル壁や格子窓が並ぶ路地の大半が一般住宅や空き家へと姿を変えており、営業を継続している店舗は実質2〜4軒程度と極めて小規模です。
街の運営を支えてきた滝井料理組合の管理のもと、各店舗は「料亭」という建前を遵守しながら営業を行っています。玄関口の上がり框(かまち)に「お呼び込み」の年配女性が腰掛け、奥の部屋には女性が控えるという伝統的なスタイルは健在です。ただし、大歓楽街のように客引きの声がけたたましく飛び交うことはなく、目が合うと「お兄さん、ちょっと休んでいかない?」と穏やかに声をかけられる程度。その佇まいは、繁華街というよりも「昭和の路地裏」そのものです。
営業時間は店舗ごとに裁量があるものの、おおむね夕方17時頃から22時〜23時前後まで。昼間はほぼすべての店舗が雨戸を閉ざしており、夜間に訪れて初めて営業しているかどうかが判別できる状態です。出勤する女性の人数も各店1〜2名程度と極めて限られており、日によっては目当ての店が開いていないケースも珍しくありません。