ネット上には「中身が可愛いお姉さんだと思えば怖くない」「慣れれば誰でも治る」といった安易なアドバイスが散見されますが、これらは認知科学的に大きな誤解を含んでいます。
第1の誤解は、「理性的な納得で恐怖が消える」という思い込みです。恐怖感情を司る脳の「扁桃体」は、論理的思考を司る「前頭前野」よりも圧倒的に速いスピードで興奮します。頭で「中に人がいる」「安全な仕事中だ」と分かっていても、視覚入力がもたらす原初的ショックを理性だけで制圧することは構造上不可能です。
第2の誤解は、「ショック療法のように無理矢理ふれあわせれば克服できる」という危険な精神論です。十分な心理的準備のないまま無理に着ぐるみと握手させたり至近距離に閉じ込めたりする行為は、急性ストレス反応を引き起こし、恐怖記憶をかえって強固に固定化(再トラウマ化)させるリスクを孕んでいます。