2010年4月、日本の刑事司法史において極めて大きな転換が訪れた。殺人や強盗殺人など、死刑に当たる重大な罪についての公訴時効が全面的に撤廃されたのだ。制度改正から16年が経った現在、警視庁捜査一課をはじめとする各警察本部には「特命捜査対策室」などが定着し、過去の未解決事件を専門に追う体制が完全に確立している。
「事件に終わりはなくなった」。ベテラン捜査員は静かにそう語る。時効というタイムリミットに追われて焦燥感を深めていた時代は去り、代わりに求められるようになったのは、最新技術を駆使して過去の証拠を根気強く掘り起こす持続的な執念だ。時効廃止以降、何十年も前の事件で逮捕に至るケースが全国で相次ぎ、容疑者に「死ぬまで逃げ切ることはできない」という強烈なメッセージを与え続けている。