テレビ離れが叫ばれて久しいが、地上波放送局の苦境はより一層深刻度を増している。コアターゲットの視聴率低下に伴い、スポンサー企業の広告費はデジタル領域へと流出を続けており、かつてのような高額な制作費を投入したドラマづくりは困難を極めている。
その中で独自の存在感を放ち続けているのが、NHKが制作するフラッグシップコンテンツである『大河ドラマ』だ。日本の歴史と重厚な人間ドラマを描き切る圧倒的なスケール感は、依然として国民的関心を集める巨大ブランドであり続けている。しかし、その舞台裏でも確実な変化が起きている。
かつてなら重鎮俳優や人気スターの登竜門とされていた大河の現場だが、最近では配信時代を意識した映像美や、グローバル市場での鑑賞に耐えうるストーリーテリングが強く求められている。伝統的な視聴者層を満足させつつ、若年層や海外ファンを獲得するという二重の課題に対し、制作陣は既存の枠組みを超えた意欲的なキャスティングや演出に挑んでいるのだ。