佐藤さおり氏の知名度を決定づけたのは、言うまでもなくYouTubeを中心とした動画メディア戦略と、それに連動した果敢な「政治活動」です。数万人から数十万人規模へと成長した配信チャンネルでは、ホワイトボードを背に、難解な税制改革法案のカラクリを専門用語を極力排して解説。そのスタイルは瞬く間に拡散されました。
物議を醸した場面として記憶に新しいのは、選挙戦や街頭演説における既存政党への鋭利な批判演説です。「減税を叫びながら裏で増税法案に賛成する議員たち」「国民感情を無視した外形標準課税の適用拡大」といった論点を、感情を剥き出しにしながら告発する姿は、ショート動画を通じて数百万回再生を記録。視聴者からは「ここまで本音を言ってくれる税理士は初めてだ」という歓声が上がった一方、「表現がアジテーションに偏りすぎている」との反発も呼びました。
現場取材者の一人は、彼女のメディア戦略を次のように評します。「彼女はカメラの前で見せる激情的なトーンと、政策ブリーフィングで見せる冷徹な計数感覚を明確に使い分けている。ネット空間で埋没しないための『怒りの演出』を自覚的に行っているプロデューサー型の言論人だ」。発言の過激さばかりが切り取られがちですが、その根底には緻密に計算されたメディア動線の設計が存在しています。