セシルの死が英米の大手メディアによって報じられると、ライオンセシル事件のネットの反応はこれまでに前例がない規模の炎上へと発展しました。米国の深夜トーク番組『ジミー・キンメル・ライブ!』の司会者が涙ながらにパーマー氏を糾弾したことを合図に、抗議の声は沸点に達します。ミネソタ州にあるパーマー氏の歯科医院前には連日デモ隊が押し寄せ、ぬいぐるみや抗議文が山積みにされ、医院の公式ウェブサイトやレビューサイトは数万件の低評価と殺害脅迫で埋め尽くされました。
身の危険を感じたパーマー氏は一時潜伏を余儀なくされ、医院の無期限休業と家族の避難を強いられました。しかし、世界中が熱望した「司法的断罪」の行方は、大衆の感情とは真逆の結末を迎えます。
ジンバブエ政府の環境大臣は当初、パーマー氏の身柄引き渡しを米国に要求する構えを見せていました。しかし、ジンバブエ警察と裁判所による公式調査の結果、案内役を務めた現地業者が狩猟枠の割当規則に違反していた一方で、パーマー氏自身は適正な狩猟許可証を購入しており「不法行為であると認識していた証拠がない」と判断。2015年10月、ジンバブエ司法当局はパーマー氏を不問に付し、起訴を見送る声明を出しました。米国魚類野生生物局(USFWS)も法律違反を立件できず、法的な罪に問われることはありませんでした。
社会的制裁の嵐が吹き荒れた後、ウォルター・パーマー現在の動向はどうなっているのでしょうか。潜伏期間を経て、パーマー氏はミネソタ州での歯科診療に復帰。公のメディア取材には一切応じず、沈黙を貫いています。しかし、驚くべきことに彼のハンティングへの執着は消えていませんでした。
海外ジャーナリストの追跡報道によると、パーマー氏は2019年から2026年にかけてモンゴルへ渡航し、絶滅危惧種に指定されている巨大な野生羊「アルガリ」を射殺するために約10万ドルを投じていた事実がスクープされました。大衆の激しい怒りによって生活を脅かされながらも、法的な処罰を逃れた富裕層ハンターは、強固な秘密コミュニティの庇護のもとで2026年の現在に至るまで危険な遊興を継続しているのが冷徹な実態です。