壊滅的な法規制を生き延び、奇跡的に今なお稼働し続けている個体は全国にほんの数台しか残されていない。工業用大型ベアリングとスリップリング(回転しながら電力を供給する特殊コネクタ)によって駆動するその構造は、精密機械というよりは巨大な重機に近い。部品の新規調達が絶望的な中、熟練の職人やオーナーの手作業によるメンテナンスでかろうじて命脈を保っている。
現在、実際に宿泊してその回転を体感できる貴重な拠点として知られるのが、関西近郊や東北地方の街道沿いにひっそりと佇むヴィンテージホテル群だ。例えば、岡山県の郊外に位置する一部のレトロ宿や、信越エリアの老舗ホテルでは、当時のままのスイッチパネルや調光装置が今も現役で動作している。
「いつ壊れてもおかしくない。動かなくなったら、それで終わりです」。あるホテルの管理人は静かに語る。今この瞬間も、昭和の職人技が紡ぎ出す滑らかな周回を味わえるのは、奇跡に近い幸運と言えるだろう。