映画『竹取物語』の最大の看板となったのが、第1回東宝「シンデレラ」オーディションでグランプリを獲得し、当時圧倒的な人気を誇っていた沢口靖子さんのかぐや姫(加世)役です。青い瞳を持つ異形の美少女という設定を、透明感あふれる美貌で見事に体現しました。
脇を固める布陣も空前絶後でした。竹取の翁(竹取造造)役に三船敏郎さん、その妻・田鶴役に若尾文子さんという、日本映画黄金期を牽引した名優2人が夫婦役として共演。さらに、かぐや姫に求婚する貴族たちには、大納言・大伴みゆき役に中井貴一さん、中納言・石上まろたり役に春風亭小朝さん、右大臣・阿倍みむら役に石坂浩二さんがキャスティングされ、市川崑組の常連実力派が火花を散らしました。
特に中井貴一さん演じる大伴みゆきは、かぐや姫への狂おしい執念と竜の首の玉を求めて嵐の海へ漕ぎ出す悲哀に満ちた熱演を見せ、劇中でも屈指の名場面として高い評価を受けています。大映や東宝の看板スターと若手トップ俳優が融合したキャスティングは、今振り返っても極めて贅沢な陣容でした。