世界中の美食家を唸らせてきた「菊乃井」。その主理人である村田吉弘氏は、ユネスコ無形文化遺産にも登録された日本の和食文化を世界へ発信し続けてきた第一人者だ。『ミシュランガイド』において長年にわたり最高評価の三ツ星を獲得し続けるその技は、伝統の継承にとどまらず、常に科学的な視点を取り入れた進化を遂げている。
菊乃井が提供する料理の根底にあるのは、素材の持ち味を極限まで引き出す「出汁」の文化。利尻昆布と厳選された鰹節から引かれる黄金色の出汁は、深みのある旨味と澄み切った余韻をもたらす。洗練された京料理の真髄が、正月のおせちという特別な形に凝縮されているのだ。