この楽曲がなぜ30年以上色褪せないのか、その理由は森友嵐士が紡ぎ出した歌詞の世界観と、緻密に計算された楽曲構造にあります。『離したくはない 歌詞』を紐解くと、そこには単なる甘いラブソングではなく、不条理な現実に打ちのめされそうになりながらも、愛する存在を命がけで守り抜こうとする「男の剥き出しの祈り」が描かれています。
森友自身、のちの手記やロングインタビューで「嘘のない自分の言葉しか歌いたくなかった」と語っている通り、飾られた言葉ではなく、人間の弱さと決意が同居したストレートな言葉選びが聴き手の琴線に触れます。また、音楽的なアプローチにおいても非常に特徴的です。
『離したくはない コード』進行の基本は、王道のカノン進行をベースにしながらも、ロックの骨太さを失わない哀愁を帯びたマイナーコードの使い分けが施されています。そしてボーカルの『音域』は、低音の「mid1D(レ)」あたりから、サビの最高音では「hiA(ラ)」に達します。男性の平均的な換声点(地声から裏声への切り替えポイント)を越えるhiAのハイトーンを、力強いミックスボイスとハスキーな響きで歌い上げるスタイルは、当時のカラオケブームとも合致し、多くの男性が憧れ挑戦するスタンダードナンバーとなりました。