ネット上の相談掲示板やSNSで最も関心を集めるテーマの一つが、閉鎖病棟スマホ持ち込みの真相です。「精神病院に入るとスマホを没収され、外部との連絡を一切遮断される」という噂が飛び交いますが、その背景には明確な安全管理上の理由が存在します。
医療機関が端末の所持を制限する筆頭の理由は、長い充電ケーブルやイヤホンコードが自傷事故の道具になり得る危険性です。急性期の病棟では、あらゆる紐状の物品が安全確認の対象になります。また、スマートフォンに内蔵された高性能カメラや録音機能により、他の入院患者のプライバシーや容態を無断撮影・流出させるトラブルを防ぐ目的も極めて大きいです。さらに、病状が悪化している最中にSNSで過激な書き込みを行ったり、ネット通販で衝動的な高額決済を繰り返して退院後に多額の債務を抱えるといった二次被害から本人を守る保護的意味合いも含んでいます。
ただし、近年の病棟運営では「一切禁止」一辺倒から脱却する動きも広がっています。主治医の許可のもと、ナースステーション管理の指定スペースで1日数十分のみ通話やメールを許可する運用や、コードレスの充電器を用いた監視下での利用を認める病院も登場しています。なお、外部との通信権そのものは精神保健福祉法第37条で保障されており、公衆電話の利用や手紙・ハガキの発信・受信を病院側が正当な理由なく制限することは法律で固く禁じられています。
あわせて、精神科閉鎖病棟の面会制限についても誤解が生じやすい部分です。面会は原則として患者の権利ですが、急性期で興奮状態が激しい場合や、面会相手が病状悪化の引き金になっていると主治医が判断した一時的な期間に限り、医師の指示で面会制限がかけられます。弁護士や公的な人権擁護委員との面会・電話連絡に関しては、いかなる場合であっても病院側が拒絶することは法的に許されません。