坂口良子さんの人生を語る上で避けて通れないのが、1986年に結婚した元夫(不動産業を営む実業家)との壮絶な過去です。バブル崩壊とともに元夫の会社は経営破綻し、40億円とも言われる巨額の負債を抱えることになりました。連帯保証人にさせられていた坂口さんは、過酷な返済と心労に苛まれ、1994年に離婚を選択します。
離婚後、坂口さんはシングルマザーとして幼い長男と長女の坂口杏里さんを抱え、昼夜を問わずドラマや舞台の仕事をこなして返済を続けました。心身ともに限界を迎えていた時期に現れたのが尾崎健夫氏であり、尾崎家の人々でした。
健夫氏は坂口さんが背負った過去の重荷を一切咎めることなく、杏里さんら子どもたちを家族として無償の愛で支えました。複雑な家庭環境に苦しむ坂口家を救ったのは、尾崎三兄弟が育った徳島県宍喰(ししくい)の血筋が持つ、底抜けの情の厚さと包容力でした。