では、誰もが納得する「3つ目の決定版」とは一体どこなのか。古くから語り継がれる有力候補の筆頭が、群馬県の水沢うどんだ。約400年以上の歴史を誇り、水沢観音の参拝客に振る舞われたことが発祥とされる。上州の水と厳選された小麦、そして塩のみを使用し、じっくりと熟練の技で鍛え上げられた透明感のある麺は、強い弾力とゴマダレの風味で知られる。全国的な知名度と歴史的根拠の深さから、水沢を3つ目に推す声は極めて多い。
しかし、話はそう単純ではない。長崎県の「五島うどん」や富山県の「氷見うどん」を挙げる地域も存在し、それぞれの歴史と誇りが火花を散らしている。五島うどんは椿油を塗って伸ばす独特の製法とあご出汁が絶品であり、氷見うどんは加賀藩への献上品としての高貴な歴史を持つ。結局のところ、「3つ目」の定義は地域ごとの文脈や時代によって異なる揺らぎを秘めており、これこそが日本食文化の持つ懐の深さなのだ。