OpenWorkなどの社員クチコミサイトや関係者への取材から見えてくるのは、非常に満足度の高い職場環境と、その裏側にある外資系特有の緊張感です。MSD株式会社の評判において、ポジティブな要素として真っ先に挙がるのが「コンプライアンス意識の徹底」と「ワークライフバランス」です。
内勤部門(開発、薬事、マーケティングなど)では、フルフレックス制度と在宅勤務が標準化されており、自身の裁量で日々のスケジュールを組み立てることができます。「男性社員の育児休業取得率が大幅に向上しており、復帰後もキャリアのハンデを感じない」という声が多数上がっています。また、MR職においても、従来の深夜まで及ぶ接待や過密な訪問活動は完全に過去のものとなり、デジタルツールを活用したオムニチャネル型の情報提供スタイルへとシフトしています。
一方、現場の社員が口を揃える懸念点も浮き彫りになっています。その筆頭が「グローバル本社の意向に対する決定権の小ささ」です。プロジェクトの方針転換や組織改編、人員配置の決定は米国本社のリーダーシップに依存する側面が強く、日本法人の裁量だけではコントロールできない不確実性が常に付きまといます。
気になるMSD株式会社の離職率ですが、激しい人材流動性が常態化している外資系製薬会社のなかでは、5〜8%前後と比較的落ち着いた数値を維持しています。これは待遇面の手厚さと製品力の強さが引き止め要因となっているためです。しかし、営業現場においては数値ノルマへのプレッシャーから自発的に他社へ移籍する者も一定数存在し、「成果を出せない人間には居場所が狭くなる」という外資系の不文律は確かに息づいています。