未完のまま幕を下ろすと思われた『ベルセルク』が、奇跡的な再始動を果たした背景には、三浦先生と高校時代からの親友であった漫画家・森恒二氏(代表作『ホーリーランド』『創世のタイガ』)と、三浦先生の技術を最も間近で継承してきた「スタジオ我画」の弟子たちによる命がけの決断がありました。
白泉社が2022年6月に発表した連載再開のステートメントにおいて、森恒二氏は次のような生々しい経緯を明かしています。生前、三浦先生は親友である森氏に対し、物語の結末や主要なエピソード構成、キャラクターの運命に至るまで、驚くほど詳細に口頭で語り聞かせていました。特に有名な「蝕」のエピソード執筆時、森氏のアパートに1週間泊まり込んでプロットを完成させた逸話を筆頭に、二人は創作の旅路を常に共有し合っていたのです。
三浦先生の逝去後、スタジオ我画のスタッフたちが描き遺された未完成原稿を補完して仕上げた第364話を見た森氏は、彼らの卓越した作画力と師への敬愛の深さに驚嘆しました。そして「自分たちで最後まで描ききりたい」というアシスタントたちの強い熱望と、「三浦が頭の中に持っていた結末を、読者に届けずに終わらせていいのか」という森氏の葛藤が重なり合い、連載継続という前代未聞のプロジェクトが本格的に始動したのです。