ニキビが治癒する過程で、なぜ平坦にならず硬い盛り上がりになってしまうのか。その根本的な引き金は、毛穴の深部(真皮層から皮下組織)で生じた激しい過剰炎症と線維芽細胞の暴走にあります。
通常、ニキビ(尋常性痤瘡)の炎症が治まると、損傷した真皮組織を修復するために線維芽細胞がコラーゲン線維を産生し、一定の修復が完了した段階で増殖は停止します。しかし、炎症が長期間長引いたり、毛穴の壁が破壊されて異物反応が起きたりすると、創傷治癒のブレーキ機能が破綻します。結果として毛細血管が増生して赤みを帯び、コラーゲンが過剰に蓄積して弾力性を失った硬いしこりが形成されるのです。
特に顎やフェイスライン、首、デコルテ、背中は、日常会話や咀嚼、首の回旋運動によって常に皮膚へ強い「張力(引きつれ)」がかかる部位です。物理的なテンションが加わり続けることで線維芽細胞が刺激され、過剰な瘢痕組織を生み出しやすい土壌が完成してしまいます。