「夏場は暑そうだから」「お手入れを楽にしたいから」という理由で、ポメラニアンの体をバリカンでツルツルに刈り込むサマーカットを選択するケースが見受けられます。しかし、これは被毛学および獣医学の観点から極めてリスクの高い行為です。
ポメラニアンをはじめとする北欧原産のダブルコート犬種は、オーバーコートが直射日光や紫外線を遮断し、アンダーコートが体温調節の断熱材としての役割を果たしています。これを短く刈り込むと、かえって日光の熱が地肌に直接届き、熱中症リスクや紫外線による皮膚炎のリスクを急上昇させます。
さらに深刻なのが、「ポストクリッピング・アロペシア(毛刈り後脱毛症)」や、ポメラニアンに好発する原因不明の脱毛症「アロペシアX(脱毛症X/偽クッシング症候群)」の発症トリガーになる点です。バリカンなどの刺激によって毛包の血流や毛周期が休止期で停止し、カット後に何ヶ月、場合によっては何年も毛が伸びない・局所的にゴワゴワした毛しか生えてこないという状態に陥ります。一度崩れた毛質を元に戻すのは至難の業であり、テディベアカットを希望する場合であっても、地肌が透けるような極端な短尺カットは絶対に避けるべきです。