富士山は何県?山頂に県境がない真相と私有地をめぐる歴史の真実について見逃せない 事実を厳選して解説いたします。
富士山を語る上で避けて通れないのが、静岡県民と山梨県民による「どちらの富士山が本物か、美しいか」というプライドの衝突です。かつては太宰治が『富嶽百景』で「東京のアパートの窓から見る富士は骨なしの白鳥のようだが、御坂峠から見る富士は堂々としている」と山梨側からの富士を讃えた一方、静岡側は新幹線や東海道からの広大な裾野の稜線を「表富士」と呼んで誇示してきました。
近年の実態はどうなっているのか、登山ルートの特性、利用状況、自治体による入山管理施策を客観データで比較・整理しました。
比較項目山梨県側(吉田ルート)静岡県側(富士宮・須走・御殿場)編集部の客観的評価・分析主要登山口と標高富士スバルライン五合目(標高約2,305m)富士宮五合目(2,380m)、須走(1,970m)、御殿場(1,440m)最高地点(剣ヶ峰)へ最短で行けるのは静岡側の富士宮ルート。登山者数のシェア全体の約60%前後を占める圧倒的シェア3ルート合算で約40%(富士宮ルートが主軸)首都圏からのアクセス性や山小屋の多さから山梨側が圧倒的人気。入山規制と通行料施策1日4,000人の人数制限、通行料2,000円徴収、夜間ゲート閉鎖事前登録システムの導入、夜間登山の自粛要請・ガイドライン運用弾丸登山防止に向け、山梨側が条例による厳格規制を先行導入。眺望・ランドマーク富士五湖越しに見る左右対称の端正な円錐形、逆さ富士宝永火口の迫力ある山容、駿河湾や太平洋を望む大パノラマ「均整美の山梨」対「ダイナミックな火山の力強さの静岡」の構図。世界遺産登録の経緯平成25年(2013年)6月26日、「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」として共同登録構成資産(神社群・登山道・湖沼)を両県で分担・共同保全単独での自然遺産登録断念を経て、両県が結束した文化遺産登録へ結実。
かつては「表富士(静岡)対裏富士(山梨)」の呼称を巡って議会や観光業界が応酬を繰り広げた歴史もありましたが、2013年の世界文化遺産登録以降、両県のスタンスは「対立から協調」へと劇的に変化しました。現在では環境保全やオーバーツーリズム対策において、両県知事による定期会談が重ねられています。