「なぜ、これほど学費が上がり続けるのか」。受験生を持つ家庭から最も多く寄せられる疑問の核心には、大学経営を圧迫する3つの構造的要因が存在します。
第1の要因は、エネルギー価格・資材高騰とキャンパスDX化のコスト爆発です。大規模私立大学のキャンパス運営にかかる電気代や施設維持費は、数年前と比較して20〜30%近く跳ね上がっています。加えて、生成AI時代に対応した研究用サーバーの導入や高速ネットワーク環境の整備、ハイブリッド授業の維持には億単位の継続投資が避けられません。
第2に、文部科学省による私立大学等経常費補助金の抑制が挙げられます。国からの補助金割合が長期低落傾向にある中、18歳人口の急減によって定員割れを起こす私立大学が全体の過半数に迫っています。学生募集力のある上位私立大学であっても、定員超過に対するペナルティ基準が厳格化された結果、定員を絞りながら教育の質を保つために「1人あたりの授業料単価を引き上げる」選択を取らざるを得ないのです。
ある首都圏有名私大の財務担当幹部は、取材に対して苦渋の表情でこう明かしています。「教育設備の老朽化更新を後回しにすれば、国際競争力や就職実績が落ち、結果として志願者が離れる。学費の値上げは苦渋の決断だが、教育研究の質を死守するための防衛策でもある」。