「たかが手荒れ」と放置していると、取り返しのつかない事態を招く疾患が存在します。特に注視しなければならないのが、末梢循環障害の一種であるレイノー現象です。
レイノー現象が起きると、冷水に触れたり冷たい外気にさらされたりした際、交感神経の過剰反応によって指の動脈が発作的に痙攣(けいれん)を起こします。指先への血流が一時的に途絶えるため、指が蝋燭(ろうそく)のように真っ白になり、次いでチアノーゼによって紫色へ、血流が再開すると赤色へと変化します。この虚血を繰り返す過程で指腹の組織が萎縮し、指がしわしわに痩せ細っていくのが特徴です。
この現象の背景には、全身の皮膚や内臓が硬くなる強皮症(全身性硬化症)や全身性エリテマトーデス(SLE)といった膠原病が存在することが珍しくありません。日本リウマチ学会などの臨床データでも、原因不明のレイノー症状をきっかけに膠原病が早期発見されるケースが多数報告されています。
さらに、甲状腺機能低下症による全身の代謝低下や極度の皮膚乾燥、糖尿病性神経障害による末梢循環不全、あるいは手湿疹(主婦湿疹・進行性指掌角皮症)の重症化によって指紋が消失し、皮膚全体がひきつれてしわが生じるケースも臨床現場では頻繁に観察されます。指先の色調変化、しびれ、皮膚のこわばりや関節痛を伴う場合は、単なるスキンケアの領域を超えた病的なサインと判断すべきです。