松井秀喜の野球人生を語る上で欠かせない存在が、読売ジャイアンツ時代の恩師・長嶋茂雄終身名誉監督である。長嶋との「素振り指導」に象徴される師弟関係は、松井の技術のみならず、人間形成やメディアへの接し方にも多大な影響を与えた。長嶋自身も常に国民的スターとして私生活にプライバシーのない苦労を経験してきたからこそ、弟子が築く家庭の平穏を誰よりも温かく見守ってきた。
結婚時、松井は長嶋に真っ先に報告を済ませ、祝福を受けたという。太平洋を渡り、メジャーリーグベースボールの舞台で世界のトップ選手たちと渡り合った背景には、恩師から叩き込まれた「プロ意識」と「家族を守る責任感」が深く根底に流れている。グラウンドで見せる圧倒的な打撃力と、プライベートでの奥ゆかしさというコントラストは、長嶋イズムを正統に継承した証左とも言えるだろう。