日本国内の報道やネット検索において、「金家」という言葉を目にした際、まず疑問に持たれるのが金家の読み方です。一般的には日本語読みの「きんけ」、あるいは朝鮮語の姓を汲んだ「キムけ」と呼ばれ、韓国・北朝鮮の現地発音では「キム・ガ(김가)」と表現されます。いずれも、建国の父である金日成(キム・イルソン)主席から始まる独裁統治家系を指す呼称です。
北朝鮮において、この一族の支配を絶対的なものとしている論理が金家の「白頭の血統(ペクトゥのけっとう)」です。朝鮮民族の聖地とされる白頭山を革命の聖地と位置づけ、金一族のみが国家の最高指導者たる資格を持つという神格化教育が、幼稚園から社会人に至るまで徹底して刷り込まれています。公式プロパガンダでは「白頭山で金正日氏が誕生した際に二重の虹が現れた」といった奇跡が喧伝されてきました。
しかし、金家の世襲の真相を紐解けば、それは崇高な血統神話などではなく、徹底した恐怖政治と血縁による利権独占の産物にほかなりません。旧ソ連の後ろ盾で権力を掌握した金日成氏は、1970年代から長男の金正日(キム・ジョンイル)氏への権力移譲を周到に準備しました。マルクス・レーニン主義を掲げながら、実態は封建時代の「絶対王政」へと退行させたこの世襲システムは、世界でも類を見ない三代世襲(金日成・金正日・金正恩)という異形の体制を完成させるに至ったのです。