9階に足を踏み入れた瞬間、来館者は時空を超えて江戸時代の浪花(なにわ)へと連れ去られる。「実物大浪花町家再現プロジェクト」によって誕生したこの大空間は、単なるミニチュア模型とは一線を画す。建築史学者であり本館の成立に深く関わった谷直樹名誉館長らの徹底的な文献調査と実証研究に基づき、天保年間の大阪の町並みが実物大サイズで精巧に蘇らせてあるのだ。
薬屋や唐物屋、本屋、そして長屋の細部に至るまで、当時の建築手法や生活道具がリアルに再現されている。さらに圧感なのが、照明と音響による演出だ。15分周期で朝の静寂から昼の賑わい、夕焼け、そして満月の夜へと切り替わり、犬の鳴き声や雷鳴、祭りの囃子が響き渡る。まるで当時の町人になったかのような感覚を全身で味わうことができる。