稀勢の里親方の指導の骨子にあるのは、現役引退後に学んだ早稲田大学大学院スポーツ科学研究科での研究成果だ。論文執筆を通じて体系化した「相撲の動作解析」と「相撲部屋経営の合理化」は、単なる理論にとどまらず、日々の稽古場で実践に移されている。
「伝統の型を壊すのではなく、伝統の良さを現代の言葉と数値で解釈し直す」という親方のスタンスは、力士たちの成長スピードに直結している。四股やすり足といった基本動作に対しても、どの筋肉がどう作用しているかを視覚的にフィードバック。感覚頼りだった技術指導を言語化することで、若手の理解度が著しく向上した。