赤味噌と白味噌を見比べたとき、多くの人が「黒大豆や赤大豆を使っているのではないか」という誤解を抱きがちです。しかし、基本的な主原料はどちらも同じ「大豆・麹・塩」です。
最大の違いを生み出しているのは、大豆を加熱する工程と、その後の熟成期間の長さです。味噌の醸造現場において、仕込みの段階で明確な分岐点が存在します。
赤味噌を作る際は、大豆を長時間かけてじっくりと「蒸す」工程を踏みます。高温で蒸された大豆は、タンパク質と糖分がしっかり保持された状態で麹や塩と合わせられ、半年から長ければ3年近くもの歳月をかけてじっくり熟成されます。この長期発酵の過程で、アミノ酸と糖が結びついて褐色物質を生み出す「メイラード反応」が活発に進み、深みのある濃褐色(赤色)へと変化していくのです。
対照的に、白味噌は大豆をたっぷりの湯で「煮る」手法を取ります。煮汁に糖分やアミノ酸を適度に溶出させ、着色成分を取り除いた上で、大豆が熱いうちに素早く仕込みます。さらに熟成期間は1〜3週間、長くても数ヶ月程度と極めて短期間で切り上げるため、メイラード反応がほとんど起きず、明るいクリーム色や淡黄色を保ったまま仕上がります。