郵便局の経営危機が叫ばれる最大の根拠は、日本郵便が担う郵便事業の深刻な構造赤字にあります。手紙やハガキの基本料金改定により一時的な増収効果は生じたものの、それを上回るスピードで郵便物の総数が減少を続けています。
日本郵政の赤字理由を紐解くと、以下の3つの構造的要因が浮き彫りになります。
第一に、社会全体のペーパーレス化とDXの急速な浸透です。請求書や領収書の電子化、官公庁の手続きデジタル化、SNSやチャットツールの普及によって、郵便の主力を占めていた企業間(BtoB)通信やダイレクトメールが急速に姿を消しています。ピーク時に約250億通を超えていた郵便物数は、現在では半分近くまで落ち込んでいます。
第二に、人件費および物流コストの高止まりです。郵便事業は全国すべての住所へ戸別配達を行う労働集約型のビジネスモデルです。人手不足に伴う人件費の上昇や燃料費の高騰が、収益を容赦なく圧迫しています。
第三に、グループ内の収益補填モデルの限界です。従来はゆうちょ銀行やかんぽ生命保険が稼ぎ出す利益の配当によって郵便事業の赤字を穴埋めする構図が成り立っていましたが、金融2社の収益力も低金利環境や市場競争の激化により盤石とは言えない状況が続いています。郵便料金値上げによる経営状況の改善は一時的な延命に過ぎず、抜本的な事業構造の転換が迫られています。