テレビアニメシリーズの歴史において、最もファンの胸を打った出来事の一つが日向冬樹役のキャスト交代劇です。初代冬樹役を務めた声優の川上とも子さんは、透明感あふれるハスキーボイスと繊細な演技で、好奇心旺盛で心優しい冬樹のキャラクター性を不動のものにしました。
しかし、2008年8月、川上さんは病気療養のため休業を発表。第232話から代役として冬樹役のバトンを受け取ったのが桑島法子さんでした。その後、療養を続けていた川上さんが2011年6月に惜しまれつつ永眠されたことで、桑島さんが正式な後任として冬樹役を背負い続けることとなります。
桑島さんは役を引き継ぐ際、川上さんが築き上げた冬樹像を徹底的にリスペクトし、「川上さんが演じる冬樹の息遣いを壊さないこと」を最優先にマイク前に立ち続けたと当時の現場関係者は語ります。単なる仕事の引き継ぎではなく、声優仲間としての深い情愛と敬意が込められたその声は、視聴者にとっても違和感なく受け入れられ、桑島版冬樹として新たな生命を吹き込まれました。過酷な運命のなかで行われたこの交代劇は、関係者のプロ意識と絆が生んだ奇跡的なリレーとして、ファンの間で大切に記憶されています。