サリーというキャラクターに血を通わせた声優陣の演技も見逃せない。日本語吹き替え版でサリー役を務めたのは、お笑いコンビ「ホンジャマカ」の石塚英彦だ。巨漢でありながら心優しく温厚なサリーの人間味を、深みのある低音で見事に表現し、日本の視聴者の心をつかんで離さなかった。
一方、英語版で声を務めた名優ジョン・グッドマンの収録現場では、アニメーション映画の常識を覆す異例の試みが行われていた。通常のアニメのアフレコは声優が個別にマイクに向かうが、監督のピート・ドクターは、相棒マイク役のビリー・クリスタルとジョン・グッドマンを同じスタジオに入れ、掛け合いを同時に収録させたのだ。テンポの良いリアルな会話の間や掛け合いの妙は、この現場でのライブ感から生み出された。まさに役者同士の化学反応が奇跡の作風を生んだと言える。